w不倫のピース

40代主婦。今、秘密の恋をしています。不快に思う方はご覧にならないでいただけますようにお願いします。

一線。

2ヶ月ぶりに会える事になった。


世間はクリスマス一色。


その日、私は車で出た。


待ち合わせの駅、待ち合わせの場所に彼は立っていた。


ゆっくりと、停車すると車を覗きこみ

「お疲れ」と助手席に座った。


とりあえず、人が多い駅前を抜けようと、車を出す。


「ちょっと、二人になれるとこ行こう」

「…わかった」


それで理解してしまった自分。


二人になれる所…は決まっているわけで…。


おとなげなく、ドキドキするのをバレないように、話をしながら、その場所に着く。


車から降り、前を歩く彼の後ろを追った。


部屋に入る。


とたんに抱き締められた。


彼のスーツの匂い。タバコの匂い。

全てが目の前にその人がいる証明。


耳元で、「後悔は?」と言われた。

「してない。

そっちこそ後悔は?」

「してない。」


例えその場限りの言葉だとしても、嬉しく思ってしまった。


そして、…私達は一線を越えた。

お互いに、この時間だけは全て忘れてと。

ありがとう。

3ヶ月がたった頃。私の誕生日があった。


もう、おめでとうも家族からしか言われない年齢。

プレゼントは、子供達からだけ。


そんな年月を重ねていたが、今回は違った。


日付が変わって数分後。


彼から、LINE。


「誕生日おめでとう。

貴女が生まれて来てくれた事に感謝。

貴女に出逢えた事に感謝。」


思わずスクショをしてしまう。


久しぶりに、家族以外におめでとうを言ってもらえて、嬉しかったから。


「何のプレゼントも出来ないけどごめんな。」


言葉だけで、最高に嬉しいプレゼントだと思ったのは、初めてだった気がする。

わかってよ。

それからは、またLINEでの日々。


だいぶ仕事が忙しくなった様子で、ちらほら愚痴も彼からは出てきた。

けど、そんな中でも私を気にかけてくれる一言が欲しかった。


寂しさは溜まる一方。


必死に押さえてるつもりだったが、また悪い癖が出た。


「今度…いつかな?」


既読にはなったが、返信は来ない。

仕事中だから…なんだとそんなに気にかけずにいた。


夜になり、スマホの通知音が鳴った。


来た!


しかし、LINEを開いて一瞬で態度を一転させる内容だった。

「多分、今はお前が想像している何倍も仕事大変なんだわ。

ちょっと、LINEも返信するのもダルいぐらいに体力的に疲れてるし。


気持ちはわかるけど、理解してくんない?」


………….。


涙が出そうになるのを我慢して、


「うん。ごめん…。わかった。」


とだけ返信した。


ちょうど、お風呂が空いていたので、入ってくると家族に言って足早浴室に行きシャワーの音で泣く声を消した。


自己嫌悪。最悪。


けど、気持ちはわかってて欲しかった…。


そんな事が頭の中をぐるぐる。


涙が止まらなかったが、出た時に目が赤いと家族に怪しまれるから必死に落ち着こうと、大きなため息を一つ。


そうだよ。

会いたい時に会えないのが当たり前の関係なんだから…こんな事で…。と自分に言い聞かせた。


それを自分がわかってて選んだんだから…。


私から、会いたいと言うのは封印しようと思った。


お風呂から出ると

「すまん。ちょっとキツく言ったけどちゃんとわかっててもらいたかった」

とLINEが入っていた。


「うん。ごめんねー。大丈夫!仕事頑張って!」


精一杯の強がりで返信した。